人間であり続けるために
 昨年二月、東京・立川の防衛庁官舎で反戦ビラを配布した市民グループの三人が住居侵入容疑で逮捕された。運動仲間の手になる、本書は現代の思想弾圧の記録である。
 逮捕の描写が生々しい「ドアを開けないと壊すぞ」と脅して部屋に上がりこんだ公安刑事。親が介護認定を受けているのを騒ぎ立て、権利ばっかり主張しやがって、義務を果たしていない」と怒鳴りつけてくる取り調べ。
 「他の団体の活動を抑える予防の狙いも」と検察の幹部が言い放つ。?過激派?に仕立て上げるためなら、どんな無法もやってのける恥知らずども。そんな連中の発表をただ垂れ流すだけの御用マスコミ。
 どれほど狂えば気が済むのだろうか。この国は今、アメリカの戦時体制に完全に組み込まれてしまった。
 やがて東京地裁八王子支部で言い渡された判決は無罪。検察は控訴してきた。一方の警察は都内のマンションで共産党のビラを配った男性を立川の事件と同じ容疑で逮捕した。類似の思想弾圧はその後も強まっている。 どうにかしなければ。人間が人間であり続けたいなら。

                  (サンデー毎日 2005年4月17日号)