“奉仕者”の活動記録
長年、都の職員として障害者施設などで働き、現在は千葉明徳短大教授として「ボランティア論」を教える著者のこれまでの活動を集大成した1冊である。
ハンデを背負った人たちとの暮らし、様々なボランティア活動、チェルノブイリで放射能汚染に苦しむ人との出会い、そして16年前に亡くした妻や残された4人の子どものこと・・・・。ともに歩んできた「隣人」へのオマージュ(讃辞)が全8章を通じて語られている。
著者の大友さんは1940年、福岡県生まれの57歳。高校を2年間休学して私塾の施設で障害者と暮らした経験を持つ、根っからの“奉仕者”だ。
早稲田大学を出て、都に勤める傍ら、障害者の自立を目指した「ぐるうぷ・はこび屋」「日本チェルノブイリ連帯基金」などの創立に次々加わるなど、精力的な福祉活動を続けてきた。
その根底にあるのは「“少数者”こそ、未来を切り劈(ひら)く人々である」という思想だ。少数者とは、障害者はもちろん、老人、病人などの社会的弱者である。
著書にはこうある。
「だれでもいつの日か、他人の助けなくして生活していけなくなる。そのとき味わう悲しみと辛さを一番知っている少数者こそ、人間の不幸を救済できる唯一の友人である」
そして、現在“強い者”として生きる人たちが、将来“少数者”の悲しみを味わわぬために、少数者を大切にする若い世代を育成しなければならないと―。
通読してもいいし、興味のある部分だけを読んでもいい。「自分の生き方を模索している人、ボランティアに興味のある人などの参考になれば」と大友さんは話している。
(読売新聞・1997年5月22日・地域ニュース「ブック・人」より)